活動報告

朝鮮学校への「高校無償化」の即時適用を求める要請書を文部科学大臣らに送付しました

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2011年1月15日

内閣総理大臣 菅 直人 殿
文部科学大臣 高木義明 殿

朝鮮学校への「高校無償化」の即時適用を求める要請書

私たちは、2010年2月に政府が朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外しようとしたことを契機として、愛知県を中心に、東海北陸地方で、朝鮮学校関係者、保護者、日本人参加者によって、朝鮮高校にも差別なく「無償化」適用を求める活動を進めるために結成された「朝鮮高校にも差別なく無償化適用を求めるネットワーク愛知」です。私たちはこの間、愛知朝鮮高級学校の学区である東海地方で、多くの市民・団体に呼び掛け、その賛同を得ながら、署名活動、街頭宣伝、学習会、無償化要請活動、愛知朝鮮高級学校との交流などの活動を行って来ました。そもそも、「高校無償化」は、「すべての意志ある生徒の学びを保障し、家庭の状況にかかわらず、安心して勉学に打ち込める社会をつくる」目的で生徒の授業料負担を軽減するものであり、制度の施行初期から、中国人学校、ブラジル人学校、インターナショナルスクールなどの外国人学校の生徒も対象とされました。

それにもかかわらず、政府は、朝鮮学校のみを「無償化」から除外し、朝鮮学校に「無償化」が適用されるか否かの判断を引き延ばし続けました。これは、朝鮮学校生徒のみを差別する点で、「高校無償化」の趣旨に反するばかりか、日本国憲法、教育基本法、国連人権規約、人種差別撤廃条約に違反する民族差別であり、日本全国の市民、団体、はては大韓民国など諸外国の市民、団体からも反対の声が上がりました。これら市民の懸命の呼びかけの結果、文部科学省は11月5日、ついに朝鮮学校に無償化適用を認める内容の「規程」を発表し、やっと朝鮮学校の生徒たちも「無償化」の対象とされるかと思われました。

しかし、文部科学省は、11月23日の朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の砲撃事件を受けて、朝鮮学校による「高校無償化」の申請は予定通り11月30日まで受理するが、現状では審査を「停止」することを正式に発表しました。文部科学大臣は、「停止」措置について、内閣総理大臣の指示に基づき、「平和を脅かす特別な想定外の事態」に対応したものと説明しています。私たちは、「無償化」審査停止は、子どもの学びの場に政治的意図に基づく差別を持ち込むものであり、決して許され得ない不当な措置だと考えます。

一体、日本で生まれた朝鮮学校の生徒たちが、「平和を脅かす事態」とどのような関係にあるというのでしょうか。今後も朝鮮半島で軍事的緊張が高まるたびに、子どもたちの学びの権利が踏みにじられるならば、純真な子どもたちの心を傷つけ、取り返しのつかない恐怖と憎悪を刻印することになります。人間にとって学びは、民族や政治的立場による違いを相互に理解した上で、友好を深め合う礎となるものです。私たちの社会が平和であるためにこそ、学びの権利はすべての子どもたちに平等に保障されるべきです。政府は、「高校無償化」について、「外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべき」ことを統一見解としてきました。この統一見解の精神に立ち返り、即時に朝鮮学校への無償化審査を開始すべきです。
私たちは、文部科学省が定めた「規程」に従い、すみやかに朝鮮学校生徒への「無償化」適用を最終決定することを強く求めます。

「朝鮮高校にも差別なく無償化適用を求めるネットワーク愛知」
共同代表 磯貝治良(作家・在日朝鮮人作家を読む会)
内河惠一(弁護士)
金伸治(愛知朝鮮中高級学校校長)
竹内宏一(日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会事務局長)
裵明玉(弁護士)
許玉禮(愛知朝鮮中高級学校オモニ会会長)
水田洋(名古屋大学名誉教授)
李博之(愛知朝鮮学園理事長)
安川寿之輔(名古屋大学名誉教授)
山本かほり(愛知県立大学准教授)
朝鮮高校にも差別なく無償化適用を求める1.15緊急集会参加者一同

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